「日本が舞台の、すごく多白い映画があるよ!!」
と主人が会社の同僚に言われという、犬ヶ島(Isle of Dogs)。
調べてみると、
アメリカ人監督が 4年の歳月をかけて作り上げた 日本が舞台のストップモーション・アニメの映画 らしい。
なんじゃそりゃ!面白そう!
というわけで、興味を惹かれたので早速観てきました。
ストーリー〜トリビアまでは、映画の公式サイト(日本版)から抜粋しています。
公式サイト(日本版):http://www.foxmovies-jp.com/inugashima/
ストーリー
今から20年後の日本。メガ崎市ではドッグ病が蔓延し、人間への感染を恐れた小林市長が、すべての犬を“犬ヶ島”に追放すると宣言する。
数か月後、犬ヶ島では、怒りと悲しみと空腹を抱えた犬たちがさまよっていた。その中に、ひときわ大きな5匹のグループがいる。……………元ペットの4匹に、強く生きろと喝を入れるのが、ノラ犬だったチーフだ。ある時、一人の少年が小型飛行機で島に降り立つ。彼の名はアタリ、護衛犬だったスポッツを捜しに来た小林市長の養子だ。……………何としてもスポッツを救い出すと決意するアタリに感動したレックスは、伝説の予言犬ジュピターとオラクルを訪ねて、教えを請おうと提案する。
一方、メガ崎市では、小林政権を批判し、ドッグ病の治療薬を研究していた渡辺教授が軟禁される。メガ崎高校新聞部のヒロシ編集員と留学生のウォーカーは、背後に潜む陰謀をかぎつけ調査を始める。……………
豪華キャスト(声優)
こちらの映画の面白い点は、多くの日本人をキャストに起用していて、彼らが日本語で演じている点です。声優をつとめるのは、
ヨーコ・オノさん、野田洋次郎さん、渡辺謙さん、夏木マリさん等…
それほど映画やテレビを観ない私でも知っているそうそうたるメンバーです。
そして、先ほどの予告(字幕版)を観ていただいてお分かりになったかもしれませんが、人間の言葉=日本語(留学生や翻訳者たちは英語)、犬の言葉=英語で演じられています。

しかも、海外(アメリカ)で上映されている時も日本語の部分に英語字幕はついていない。
つまり、日本語がわからなければ、観客は(映画の中の)日本人が何を話しているかさっぱりわからないという状態でストーリーが進んでいくんだ!
映画の中の犬たちも、日本語がわからないという設定になっています。観客たちも犬たちと一緒に、人間(日本人)が何を言っているのか考えながら映画を観ることになりますね。
言語がわからないなりにどうにか意思疎通をしている登場人物たちの姿に、今アメリカに住んでいる自分の身を重ねて、ついクスリと笑ってしまう場面もありました。
主人公のアタリ君の声を演じているのは?
映画を観たあと、夫と二人で「アタリ君の日本語が少し変だったかな?」という話になりました。
それで調べたところ、アタリ君の声を担当しているのは、Koyu Rankin(コーユー・ランキン)くんというスコットランド系カナダ人の父親と日本人の母親を持つ男の子でした。英語と日本語が話せるバイリンガルとのこと。
「子どもがアフレコする(声をあてる)と変になるから、日本のアニメでは子どもの声でも大人の女性がアフレコすることが多い」
と聞いたことがあるので、イントネーションが変だなと感じたのはそのせいなのかもしれません。ちょっとしたクセも、映画を見終わる頃には可愛らしく感じました。(子どもらしさがよく出ていたので。)
製作過程の動画
製作過程の動画を見つけました。正直これだけ観ていても面白いです。
(英語なんですが映像だけさらっと観ていてもどれだけ手間をかけて作られた映画か理解できると思います)
こうやって一体ずつ人形を作って、少しずつ動かして撮影して…
なんて気が遠くなりそうな作業なんだろう!!??
この映画には色々トリビアがあって、
撮影期間合計日数445日、総勢670人のスタッフが稼働。
100分の映画を作るために144,000の静止画が撮られた。
最大のセットのサイズは長さ9mで、最小のセットはiPhoneよりも小さい。
作られた人形の数は1,097体。500人以上の人間と500匹の犬。
人間のキャラクターは、様々な表情を表現するため53の顔が作られた。それぞれには、会話に合わせるために48の差し替え用の口が個別に作られ、色付けされた。顔と口だけでも3,000以上が作られた。
などなど等…
CGが一般的な中で、こんなに人の手をかけて作られた映画ってそうそうないですよね。
感想
さてさて、ようやく個人の感想です。(´∀`)
ここまで今節丁寧に解説して面白さを書き立てているので、「面白かった」と続きそうなもんですが…
個人的には面白かったけど、好き嫌いの好みが分かれそうな作品だな。
と、いうのが正直な感想です。今まで出会ったことのない世界を観たという意味で、面白かったんです。
「excitingではなく、interestingという感じ。」と夫が言っていましたが、この感想が言い得て妙だなあと。
この作品の監督/ストーリー/脚本/製作をつとめるのは、Wes ANDERSON(ウェス・アンダーソン)さん。 もともと、彼のファンという人には、この映画でも存分にその世界観に入り込めるので、楽しいでしょうね。
私はこの映画で初めて知った口なので、「不思議な世界観だなあ」と思うことが多かったです。
ついツッコミを入れたくなったところ
映画だから気にするなと言われそうですが、「日本」が舞台である以上どうしても気になってしまう箇所もありました。
「80年前の日本(らしき場所)を舞台に…」という設定であれば、私もなにも突っ込まなかった。
「僕たちは日本が大好きなので、日本映画からインスピレーションを得た何かを作りたかった。」
「黒澤作品が一番この映画に影響を与えている」
と監督もおっしゃっているようなので、まあ描写されている日本が古いのもしょうがないのかな?でも、作品をつくるにあたって監督も日本に足を運んでいるだろうし、現代の日本の様子も見ているでしょう…???
これ、いつの時代だよ!!!!!∩^ω^∩
でも、ノスタルジーを感じる作品であることは間違いありません。(「ALWAYS 三丁目の夕日」的な。)体験したことはないけれど、なぜか懐かしさを感じる不思議な世界。近未来設定を忘れてしまえば、割とすんなりこの世界観を受け入れられるかも。
日本ってこんな風に見られているのかな
時代設定はさておき、この映画を見た時に、日本人として考えさせられる部分も多くありました。
- どんどん過激になる→市長(権力者)
- 何かおかしいと思っていても強く反対せずに過激な意見に賛同していく→大衆
- 成果をあげているのに権力に押しつぶされる→研究者
- 犬を撫でようとした子どもを突然大声で怒鳴りしかりつける→厳しい教育
- 灰色と土色で自然の美しさがない→街
映画だから誇張されている箇所もあるし、現代では変わってきているところもあるけれど、でも日本の問題点もちゃんと表現しているな〜、と。
もちろん風刺しているだけではなく希望もあって、日本への愛と伝統文化への敬意を感じるところはたくさんありました。
- 大人たちに反発して新しい風を吹き込む→子どもたち(学生)
- 一言も発しないけど大活躍する→オタク
- 一見の価値あり、日本の伝統文化→太鼓、歌舞伎、和食
なんだか、今の日本を叱咤激励されているような、そんな気分になりました。
キャストなど、日本人も関わっているとはいえ、スタッフの多くは日本人ではありません。それでも、これだけ日本のことを表現できるのは素直にすごいな、と思いました。
日本人以外の人が観た感想は?
正直、私は(自分が日本人だし)面白いけど、他の国の人がみて面白いの??と思ったのですが。
調べてみると、意見はわかれるものの、この映画への評価は概ね高いようです。実際に私たちも、夫の同僚2人(日本語は話せない方々)に勧められて観に行きましたし、映画館で観終わった後も、周りを観る限りではみなさん楽しんでいたように見えました。
意味を知っていたり、覚えやすかったりする日本語を真似して呟いたりもしていました。(私の隣の席の人)
口コミサイトをみた印象としては、
- もともとウェス・アンダーソンさんのファン
- 犬が好き
- 日本が好き
という人たちには、満足いく映画として好評を博しているようです。
日本での公開情報
日本では2018年5月25日(金)に全国ロードショーとのこと。興味が湧いた方はぜひ映画館へ!
アメリカではもう公開されていますよ〜!\\\\٩( ‘ω’ )و ////